1994年、当時の温海町(しな織りセンター)で山形大学名誉教授 北村昌美先生の講演をお聞きしました。演題は「森林彩時記」ドイツではシナノキ(Tilia属)をリンデ(Linde)といい、人々から特に親しまれている樹であることを知りました。それ以来ずっと現地を訪ねてみたいと思っていましたが、十数年来の夢が叶い2006年10月、 北村先生と共にドイツのリンデと対面して来ました。感動と興奮の連続の日々でした。
 森に親しみ恵みを体感。ドイツの学園都市フライブルクと南シュバルツバルト(黒い森)視察と研修を目的にした「鶴岡 森の旅2006ツアー」長年現地と交流をしている山形大農学部や鶴岡市関係者による訪問団と私のような市民ら計28人が参加しました。 
 「黒い森」はドイツ南西部にあり、総面積約6000平方kmの広大な丘陵地帯トウヒ、モミの針葉樹を主体にした林と牧草地・農家が点在し景観を創出していました。40年程前から頻繁に訪れ、森林文化研究と学術交流を続けている北村先生のおかげでこの旅も実現したわけです。

シュバルツバルト(黒い森)をバックに
 この黒い森の拠点として南シュバルツバルト自然公園事務所がありますが、私共は所長シェットレさんからレクチャーを受けました。「フランス スイスに隣接し100キロ圏内に約1500万人が住む公園内には、動植物の保護区が集中するが、人々の休暇保養のためにどう利活用するかに重点を置いて運営している」と話す。
 10月19日 北村先生との交流があったヘルムートブランドル夫妻(元フライブルグ大教授)ハイナーパプスト夫妻(元ノイエンビュルク森林所長)と私ども一行団との交流PARTYがありました。
 
 
南シュバルツバルト(黒い森)を視察

交流会ではしな織りのテーブルセンターをプレゼント
 
 

 その際、市からしな織りのテーブルセンターがプレゼントされたのです。これを手にしたご夫人達が大変興味を示され、とてもシンプルで素敵だとおっしゃってくれました。席上、山形大学の小山先生、野堀先生の通訳に助けられながら、しな織りについて説明させて頂きました。話を進めていくなかで
パプスト婦人からひょっとしたら、50年程前ぐらいにはドイツでもこの布が織られていたかもしれないという発言がありました。あまりにびっくり興奮してその日の夜は知恵熱が出る程でした。

 フライブルクは黒い森の玄関都市、人口20万人ミュンスタアー(大聖堂)を中心に石畳の古い街並みが続く。
広場にはリンデの泉があり、葉が美しく花の香りが良いリンデの街路樹が植えられています。私は思わずリンデ!リンデ!ここにもあった!ここにもあった!と叫びながらフライブルクの街のリンデを抱きしめてきました。

フライブルグの町並を視察

リンデの木とともに

 ドイツではリンデは大昔から神聖な樹、恋愛の樹としても親しまれており、ドイツの詩人で小説家でもあるゲーテは「夫婦愛」という花言葉を持つこの木に愛する人の名前を彫ったそうです。リンデの花葉はお茶としても利用され、ほんのりと漂う甘い香りと上品ですっきりとした味はリラックスティーとして愛飲されているそうです。この他にも蜂蜜、木工品の材料、教会の装飾品や神像の彫刻材としても使われているそうです。これぐらいドイツの人々に親しまれ利用活用されているリンデですから、その織物があっても不思議ではないのです。
 
 
リンデの泉

街を見下ろす小高い丘の公園にもリンデの木が
 
 


 洋の東西を問わず、人間の営みは似かよっており創意工夫を重ねた到達点は同じなのかもしれません。これを機会にドイツそして広くEUの国々と、しな織りを通じて交流が始まることを願わずにはいられません。

(山形新聞社 山川敏春さんの同行記 参考引用)